歯の外傷
歯の外傷
小児の歯の外傷は、身体の他の部位と比べて発生頻度が高く、また事後の影響も残りやすいものです。受傷時は歯の破折や歯肉から出血など伴うため、子ども保護者も気が動転しがちですが、適切な応急処置や症状に応じた対処が必要となります。早めの対応が治療の予後に影響するため、痛みなどの症状がない場合でも、歯科医院で診察を受けることをお勧めします。
症状が軽い場合でも、その後しばらくしてから歯が変色したり、歯肉が腫れてくることがあります。また、乳歯の場合は後から生えてくる永久歯に影響を与えることがありますので、生え替わりまで定期的にチェックして、受傷した歯の状態と次の永久歯の生え方を長期観察していく必要があります。
頭痛や吐き気、めまい、嘔吐などがみられる場合は、子どもの意識状態や反応を確認して、歯科治療の前に医科の専門診療科(脳外科など)を受診することを勧めます。
まず止血を行います。うがいや濡らしたガーゼで出血部位をきれいにしてから、清潔なガーゼなどで出血部位を押さえて止血を図ります。歯肉が切れていたり、歯根が折れたり、歯の位置がずれていることも多いので、早めに歯医者さんを受診しましょう。
欠け方が軽度の場合は様子をみてから歯科受診してもかまいませんが、大きく欠けた場合は神経(歯髄)まで達していることが多く、放置すると痛みが出たり、神経が死んでしまいますので、早急に歯医者さんを受診しましょう。
歯が抜け落ちた場合、条件がよければ歯を元の位置に植え直す(再植)ことができます。一般的に、歯の組織が生きている短時間のうちに再植すると予後が良好といわれています。できれば受傷後30分以内に処置することが望ましいため、脱落した歯は水道水で洗ったりせず「牛乳」につけるか、ラップなどに包んで、できるだけ早く歯医者さん受診をしましょう。